2026年7月6日
【登壇者インタビュー】1000年前の思想を現代へ「輸入」する

株式会社LINOA(本社:東京都新宿区、代表取締役社長CEO:立崎乃衣)は、2026年7月19日(日)に開催する「知と好奇心が交差する未来の広場 オープンキャンパス2026」において、次世代の学びと研究を牽引する3名の特別ゲストと1名のモデレーターをお招きし、スペシャルトークセッションを実施いたします。 今回は7月の本番を前に、当日の議論の舵取りを担うモデレーター・乾将崇さんへ独占インタビューを行いました。「知と好奇心の交差」というテーマのもと、日頃から好きを追求する人生の師たちの視点がどう 交わり、どんな未来の可能性が見えてくるのか。当日の見どころや、乾さん自身の持つ熱量に迫る必読の記事となっています。
【ゲストプロフィール】

乾 将崇(いぬい まさたか)
チベット仏教、インド-チベット密教、幻、光、認識論、中世に関する研究をしている。2024年、インドにあるチベット仏教僧院ギュメ学堂に留学、同年高野山で四度加行を成満。2026年東京大学文学部人文学科インド哲学仏教学専修卒業、同年ハーバード大学神学大学院、神学研究修士課程進学。2026年、合衆国国務省フルブライト奨学生に指名。
Interviewer:本日はよろしくお願いします!まずは、大学でどのような研究をされていたのか教えていただけますか?
乾:私は大学でチベット仏教、特に「ゲルク派」と呼ばれる宗派の研究をしていました。チベット語で書かれた文献を読み解き、昔の人々が何を考えていたのかを発掘しています。分かりやすく言うと、例えば10世紀など1000年くらい前の人たちの考え方を、時を超えて現代に持ってくる「知識の輸入業」のようなことをやっています。
Interviewer:時を超えた輸入業!なんだかロマンがあって面白いですね。そもそも、なぜチベット仏教に興味を持ったのでしょうか?
乾:大阪の古いお寺が多い地域で育ったので、もともと仏教には関心がありました。決定的なきっかけは、中学1年生の11月にチベット仏教の最高指導者にお会いしたことです。その時の話し方や存在感に強烈に惹かれて、「彼らが見ている世界を見てみたい!」と思い、チベット仏教の勉強を始めました。
チベット仏教ゲルク派の密教寺院である「ギュメ学堂」 インド最大のチベット人コミュニティーの所在地である「ダラムサラ」 ニンマ派の僧院での乾さん
文系の研究における「新たな視点の提供」
Interviewer:実際に研究を進める中で、大変だったことはありますか?
乾:一番は「どういう発見をしたら新しいと言えるのか」という曖昧さですね。
理系の研究なら「誰も知らなかった新発見」がありますが、私がやっているのは「10世紀のチベット人はすでに知っていたけれど、人類が1000年間忘れていた知識」を掘り起こす作業です。それが果たして「新しい」と言えるのか、虚しさを感じることもありました。また、アーティストには作品の良さを解説してくれるキュレーターがつきますが、研究者は自分で自分の研究の意義を発信して理解者を増やさないと、非常に孤独な作業になってしまいます。
Interviewer:なるほど。では、そういった文系学問を学ぶ意味とは何だとお考えですか?
乾:文系の本質的な能力は、「1つの事柄を、より多くの文脈や角度から捉える力を養うこと」です。正解・不正解を出すのではなく、今までの考え方を改めさせるような新しい「見方の可能性」を提供すること。それが文系の学者がやるべきことだと思っています。

仏教の叡智から 導く「未来ビジョン」
Interviewer:乾さんの研究を通じて、将来どのような世界を実現したいですか?
乾:
実現したいビジョンの一つに、「思いやりの心」や「精神を正常に保つ方法」の復権があります。現代の学校教育では、例えば「手を洗いましょう」といった肉体的な衛生については教えますが、人の悩みを聞くにはどうすればいいか、どうすれば健康な精神状態で生きられるのかといった「精神の衛生」についてはあまり教えてくれません。近代以前、特に仏教などが根付いていた地域では、計算などよりもむしろ、そうした「心の保ち方」を大切に教えていました。現代の教育 が忘れてしまった古き良き叡智を現代に「輸入」し、一人ひとりの精神が豊かになることで、結果としてヒステリーのない平和な世界に繋がると信じています。
Interviewer:
ハッとさせられる視点ですね。論理やテクノロジーが先行する時代だからこそ、かつての宗教が担っていた「心の教え」を見直すことが、豊かな未来やイノベーションの源泉になるというのは非常に面白いです!
哲学 × 神経科学のFusion!
Interviewer:今回のオープンキャンパス2026の大会テーマは「Fusion — 出会いが、挑戦に変わる瞬間」ですが、もし全く別の分野と掛け合わせるとしたら、どんな可能性が生まれると思いますか?
乾:「哲学」と「神経科学」の掛け合わせです。
例えば、遠く離れたインドとヨーロッパで同時期に同じような哲学が生まれることがあります。これは人間の「情報を処理する神経的基盤」が同じだからではないか、と考えているんです。
もし「思いやりの心」や「悟り」を理解するための特定の神経基盤があるのだとしたら、言葉を使わずに概念そのものを相手に伝えるテレパシーのような世界も実現できるかもしれません。誤解や言葉の壁がなくなり、自分の純粋な感覚を直接伝えられる世界になればいいなと期待しています。
あなたに訪れた「研究の思春期」を大切に
Interviewer:最後に、好きなことを追求したいと考えている中高生へメッセージをお願いします!
乾:高校生で「これが好きだ」「研究したい」と思えるものに出会えている時点で、本当に最強です。私はこれを「研究の思春期」と呼んでいます。
普通の人より早く「研究の思春期」を迎え、学問に対してピュアな恋心のようなものを抱いている皆さんの感覚は、本当に尊いものです。大人になると忘れてしまいがちですが、最初に「好きだ!」と思ったその純粋な気持ちを大切に育んでください。
Interviewer:本日は知的好奇心を揺さぶられるお話を本当にありがとうございました!

今回取材させていただいた乾さんはオープンキャンパスにモデレーターとしてご登壇していただく予定です。
▼ 登壇者情報はこちらをご確認ください
https://www.linoa-lab.co.jp/news-detail/260613-opencampus2026-guest
オープンキャンパスでは、ポスター発表やワークショップ、企業による技術展示などを通じて、分野を越えたコラボレーションを促進し、「出会い」が新たなアクションを生み出す起点となる場を創出します。また、次世代研究者や企業・研究機関との対話を通じて、最先端の技術や社会課題に触れながら、自らの興味関心を深め、未来への解像度を高める機会を提供します。
▼ イベント情報はこちらをご確認ください
https://www.linoa-lab.co.jp/news-detail/260412-opencampus2026
イベント概要
日時:2026年7月19日(日)13:00~18:00
主催:株式会社LINOA
共催:株式会社グローカリンク
場所:センターオブガレージ(東京都墨田区横川1-16-3)
対象:中学生・高校生・高等専門学校生・大学生、またはそれに相当する年齢の方
参加費:無料
応募方法:以下のリンクよりご応募ください
https://forms.gle/z8cDEpv1dLeqzE7RA
※オープンキャンパス内での企画実施・ポスター/ブース出展を希望される方は、同フォーム内でその旨をご記入ください。運営よりご連絡いたします。
本リリースに関するお問い合わせ
株式会社LINOA オープンキャンパス担当
お問い合わせフォーム:https://www.linoa-lab.co.jp/contact
