2026年7月11日
【登壇者インタビュー】手のひらサイズの顕微鏡を宇宙へ

株式会社LINOA(本社:東京都新宿区、代表取締役社長CEO:立崎乃衣)は、2026年7月19日(日)に開催する「知と好奇心が交差する未来の広場 オープンキャンパス2026」において、次世代の学びと研究を牽引する3名の特別ゲストと1名のモデレーターをお招きし、スペシャルトークセッションを実施いたします。
今回は7月の本番を前に、ゲストとしてご登壇いただく上野 宗一郎さんへ独占インタビューを行いました。「知と好奇心の交差」というテーマのもと、日頃から好きを追求する人生の師たちの視点がどう交わり、どんな未来の可能性が見えてくるのか。当日の見どころや、上野さん自身の持つ熱量に迫る必読の記事となっています。
【ゲストプロフィール】
上野 宗一郎(うえの そういちろう)
人工衛星向けハイパースペクトルカメラの大学発ベンチャー立ち上げを経て、東芝で半導体イメージセンサー開発に従事。その知見を基に、光学レンズを用いない半導体センサーベースの顕微観察技術「MID」を発明し、2017年にIDDKを設立。現在は「いつでも、どこでも、だれでも」使える顕微観察技術の普及と、宇宙バイオ実験プラットフォームの社会実装を推進している。現在はIDDKがラボラトリーオートメーション向けに開発していた自動観察実験装置と人工衛星ペイロードサービスを組み合わせることで、宇宙ステーションだけではない新たな実験フィールドを創り出す挑戦を行っている。
Interviewer:本日はよろしくお願いいたします!まずは、上野さんが現在どのような活動をされているのか教えていただけますか?
上野:よろしくお願いします。メインの活動は、宇宙で実験をするための「宇宙実験プラットフォーム」を民間ベースで作ることです。 現在、宇宙で実験をしようとすると、基本的には政府が運用する国際宇宙ステーション(ISS)などの施設に頼るしかありません。私たちは、自社で開発した「半導体チップ一つで顕微観察ができる技術(MID)」を使い、人工衛星にも搭載できるような超小型のラボシステムを作っています。これにより、誰もが研究開発のインフラとして宇宙を使える世界を目指しています。

手のひらサイズの顕微鏡観察装置を宇宙へ
ロボット少年から宇宙へ。「ないものを作る」執念
Interviewer:半導体チップがそのまま顕微鏡になるなんて驚きです!そもそも、上野さんが今の分野に興味を持った原点は何だったのでしょうか?
上野:子どもの頃から技術や自然が好きで、小学3年生でプログラミングに触れ、ロボットコンテストにも熱中していました。 大学では最初は全く違う「電力」を専攻しており、宇宙開発に携わるようになったのは「たまたま」が重なった結果なんです。
Interviewer:そこからどうやって宇宙の研究に繋がったのですか?
上野:実は、本当に入りたかった電力のゼミに入れず、「じゃあ一番面白そうなところに行こう」と飛び込んだのが、学部で一つだけあった宇宙・人工衛星開発のゼミだったんです。そこで人工衛星やハイパースペクトルカメラの開発にのめり込みました。
Interviewer:偶然の出会いだったのですね!そこから現在の顕微鏡技術に繋がっていくわけですが、上野さんならではのこだわりがあれば教えてください。
上野:根本にあるのは「世界にないものを作るのが好き」というこだわりです。カメラシステムの根幹である「センサー」を一から作り直したいと考え、半導体チップそのものを顕微鏡にする技術を開発しました。 この顕微鏡にはレンズもカメラも不要で、ピント調整の機構すらないんです。センサーの直上50マイクロメートルの範囲なら、ピントを合わせて見ることができます。例えば、水を垂らすだけで水中にいる微生物の観察をすることができます。この極限までコンパクトにするという「物づくりへの執念」と、世界にまだ存在しない民間ベースのプラットフ ォームをゼロから作るんだというモチベーションが、自分の大きな原動力になっています。

指先に乗るほどの非常に小さな「MID(Micro Imaging Device)」技術
圧倒的な市場差を覆す「宇宙実験」というブルーオーシャン
Interviewer:その素晴らしい技術を、地上だけでなく「宇宙」というビジネスの舞台に持ち込んだのはなぜですか?
上野:ビジネスというフィールドで世界と戦おうと思った時、ロケットや衛星本体の製造では、すでに海外企業に勝ち目がないほど圧倒的な差をつけられているからです。 しかし、「宇宙を使ったコンテンツや実験」の領域なら、まだ世界でも競合が少なく、今から知見と実績を積めば世界シェアのトップを狙えます。また、宇宙産業が広がる中で「研究開発や実験」は絶対に欠かせないインフラになる。だからこそ、今この瞬間に事業として立ち上げる必要があったんです。
Interviewer:なるほど、非常に戦略的ですね。これまでで一番大変だったことと、どうやって乗り越えたのかについて教えてください。
上野:一番は「資金面」ですね。ハードウェアかつ宇宙というチャレンジングな領域は、どうしても資金が集めにくく、そのやり繰りは今でも最大の課題です。その場その場でなんとか踏ん張って乗り越えている、というのが正直なところです。
また、起業当初の地上の研究所向け販売でも大きな壁がありました。「チップ型の顕微鏡です」と言っても、「レンズもないのに見えるわけがない」と誰も信じてくれなかったんです。 現地でデモをして初めて買ってもらえる状況だったのですが、コロナ禍で訪問営業ができなくなってしまいました。そこで「じゃあどうするか」と考え た末、宇宙空間ならこの完全自動化・メンテナンスフリーな小型顕微鏡の付加価値が最大化される(宇宙飛行士の実験コストを大幅に削減できる)ことに気づき、宇宙事業へ大きく舵を切りました。
宇宙という究極の器がもたらす、無限の掛け合わせ
Interviewer:今の活動が実現すると、どのような世界になりますか?
上野:私たちが作る「宇宙実験プラットフォーム」が、宇宙における産業や研究開発のインフラそのものになります。製薬、バイオ、新素材など、宇宙空間で何かを開発する際には、必ず私たちのプラットフォームが使われている。そんな世界を実現したいです。
Interviewer:今回のオープンキャンパスのテーマは「Fusion」ということで、上野さんの活動が全く違う分野と掛け合わさったら、どんな面白い未来になりそうですか?
上野:宇宙というフィールドは地球全体を包み込んでいますので、本質的に「どんな分野ともFusionできる」と思っています。 例えば、仏教の「曼荼羅」のような概念を、ドローンを使って宇宙空間で立体的に表現するプロジェクトとコラボしても面白いですよね。また、生物が住めない環境を切り拓く「ロボット」と私たちの技術を掛け合わせれば、月面をテラフォーミングして、ロボットと生態系が共存する場所を作ることも夢ではありません。プラットフォームだからこそ、無限の可能性があります。
挑戦のハードルを下げて、たくさん「やってみる」こと
Interviewer:最後に、「自分の好きなことを追求したい」と考えている次世代の学生へ、一言アドバイスをお願いします。
上野:一番のメッセージは「よりたくさん、やってみる」ということです。 何かを始める時、最初から完璧を目指す必要はありません。自分なりに工夫して「行動に移すまでのハードル」を極限まで下げてみてください。ハードルが下がれば、その分たくさんの第一歩を踏み出せるようになります。その数多くの挑戦の中から、きっと自分の進むべき面白い道が見つかるはずです。
Interviewer:上野さんの数々の挑戦と圧倒的な行動力、そして緻密な戦略に非常に刺激を受けました!本日は貴重なお話をありがとうございました。
今回取材させていただいた上野さんはオープンキャンパスに特別ゲストとしてご登壇していただく予定です。
▼ 登壇者情報はこちらをご確認ください
https://www.linoa-lab.co.jp/news-detail/260613-opencampus2026-guest
オープンキャンパスでは、ポスター発表やワークショップ、企業による技術展示などを通じて、分野を越えたコラボレーションを促進し、「出会い」が新たなアクションを生み出す起点となる場を創出します。また、次世代研究者や企業・研究機関との対話を通じて、最先端の技術や社会課題に触れながら、自らの興味関心を深め、未来への解像度を高める機会を提供します。
▼ イベント情報はこちらをご確認ください
https://www.linoa-lab.co.jp/news-detail/260412-opencampus2026
イベント概要
日時:2026年7月19日(日)13:00~18:00(時間は予定)
主催:株式会社LINOA
共催:株式会社グローカリンク
場所:センターオブガレージ(東京都墨田区横川1-16-3)
対象:中学生・高校生・高等専門学校生・大学生、またはそれに相当する年齢の方
参加費:無料
応募方法:以下のリンクよりご応募ください
https://forms.gle/z8cdepv1dleqze7ra
※オープンキャンパス内での企画実施・ポスター/ブース出展を希望される方は 、同フォーム内でその旨をご記入ください。運営よりご連絡いたします。
本リリースに関するお問い合わせ
株式会社LINOA オープンキャンパス担当
お問い合わせフォーム:https://www.linoa-lab.co.jp/contact
