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2026年5月25日

【レポート】一般社団法人 SPACE FOODSPHEREを訪問しました(ADvance Campus 冬合宿 DAY 1)

【レポート】一般社団法人 SPACE FOODSPHEREを訪問しました(ADvance Campus 冬合宿 DAY 1)
株式会社LINOA(本社:東京都新宿区、代表取締役社長CEO:立崎乃衣)は、2025年12月に中高生・大学生を対象としたADvance Campus 冬合宿を実施しました。本合宿は、研究や活動に取り組む生徒たちがそれぞれの活動や興味分野の枠を越えて集い、「動きながら、つながり直す」ことを目的に企画された1泊2日のプログラムです。DAY 1は株式会社グローカリンクの協力のもと、企業や研究現場の見学を通じて、最先端の技術や研究者の思考に触れ、自身の探究を社会と結びつけて捉え直す場を企画しました。このページでは、合宿内で訪問させていただいた一般社団法人 SPACE FOODSPHEREでの体験をご紹介します。

一般社団法人 SPACE FOODSPHERE(本社:東京都墨田区、代表理事:小正瑞季氏)は、「食×宇宙」の領域において、約60もの企業や団体が集まりコンソーシアム的な動きを展開しています。単に「宇宙食を1個作る」のではなく、素材の調達から加工、おいしさの追求、そして排泄物をも含む資源循環に至るまで、「食のシステム」全体を束ねて構築することを目指しています。現在はものづくりベンチャーの集積拠点であるインキュベーション施設「センターオブガレージ」内に入居し活動を行っています。


お話を伺った菊池さんは、JAXAで新規事業や外部連携を推進するキーパーソンでもあり、「国以外のプレイヤーと宇宙ビジネスを広げる」駆け込み寺のような役割を担っています。スポーツ科学(野球研究)をバックグラウンドに持ち、「人間」そのものへの強い関心から宇宙開発にアプローチされている点も非常に魅力的でした。さらに現在は、株式会社Space Food Lab.として、月面や火星を想定した究極の循環型食料システムの技術を、災害時の備蓄食や病院食といった地上の過酷環境でのビジネスに応用する取り組みも推進されています。


水上ドローンから分身ロボット、新素材ベンチャーまで、1日かけて様々な最先端の現場を巡ってきた私たちにとって、このセッションはまさに「知の化学反応」のような時間となりました。参加した中高生・大学生のメンバーは、人工筋肉、水処理技術、国際協力、倫理学など、それぞれ全く異なる専門や関心を持っています。自己紹介から始まった対話は、各自の探究テーマと「宇宙」が交錯し、次々と新しい問いが連鎖していく熱い議論へと発展しました。


人工筋肉や外骨格を研究する学生からの「宇宙飛行士の筋力低下に自分の研究が応用できないか」という問いに対し、菊池さんからは「重力が変われば、身体の最適解は変わりうる」という本質的な視点が提示されました。無重力空間では「手足がない方がかえって活動しやすい」という極端な仮説や、車椅子ユーザーの宇宙飛行士採用の話題を通じ、「身体拡張が普通になった未来において、人類の境界線はどこに引かれるのか」という、人間観そのものを問い直す議論へと深まりました。


食の話題では、「栄養価が高いからといって、地球の食習慣で馴染みがないもの、食べるのに抵抗があるもの(例:昆虫)を宇宙で食べたいと思うか?」という鋭い指摘がありました。食の好みは合理性だけではなく、幼少期からの記憶や文化に深く根ざしているという事実です。また、宇宙食の極めて厳しい衛生基準(HACCPなど)や長期保存の技術が、地上の防災食にいかに応用できるかという議論も白熱しました。災害大国である日本において、「非常時は慎ましくあるべき」という文化的な圧力が、被災時の食のアップデート(例えば、長期保存できる美味しいゼリーの開発など)を阻んでいるのではないか、という社会構造の課題にも気づかされました。


参加者からの「宇宙教育は知識の伝達に留まっていないか?」という疑問に対し、菊池さんは「宇宙を『視点変換の装置』として使うことが重要だ」と強調されました。遠くから地球を見ることでスケールを拡張し、極限の制約環境を想像することで、私たちが普段当たり前だと思っている生活や常識の前提を揺さぶり、再設計する。ロケットの仕組みを知ること以上に、「その先でどんな暮らしや社会が生まれるのか」を想像することの面白さを学びました。


今回の訪問を通して最も強く感じたのは、「宇宙は決して遠いロマンの話ではなく、私たちの現実と地続きの領域である」ということです。2050年に宇宙での生活が当たり前になる未来を想像したとき、その最大のボトルネックとなるのは技術的なハードルだけでなく、「作り手(エンジニア)の不足」や「ビジネスとして実装できる人材の不足」だという厳しい現実も共有されました。


世の中にあふれる課題の解決・夢の実現には、分野を横断した多様な視点を持ち、実際に手を動かしてものを作り、社会システムとして実装していく「人」の力が不可欠です。身体、食、文化、制度、地域課題——。一見バラバラに見える私たちADvance Campusメンバーの探究テーマが、宇宙という究極の制約空間をキャンバスにすることで一本の線で繋がり、未来を創るための具体的な手立てに変わる感覚を得ました。



(文・立崎乃衣)



【ADvance Campusとは】

ADvance Campusは、中学生から大学生までの好奇心あふれる「個」が集い、分野を越えた自由な探究活動を行う場です。

メンバーは自身の関心に基づき「アゴラ」と呼ばれるチームを組成し、専門性を追求しながら互いに知を磨き合います。

「アゴラ」とは、古代ギリシャの公共広場の名に由来し、議論・交流・創造が生まれる場を意味します。ADvance Campus内の「アゴラ」のひとつであるADvance Labでは、次世代研究者たちがそれぞれの好奇心に基づいた自主的な研究活動を支援してきました。

ADvance Campusでは、こうした「知の結晶化」が日々生まれる、次世代型の知のコミュニティを目指しています。

▶️詳細はこちら:ADvance Campus紹介ページ


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